消費税の軽減税率 区分記載請求書等保存方式の留意点

帳簿の記載に関する留意点

イ 「課税仕入れに係る資産の内容」の記載

帳簿への「課税仕入れに係る資産の内容」の記載は、請求書等に記載されている取引内容をそのまま記載することまで求めているものではありません。商品の一般的総称でまとめて記載するなど、申告時に請求書等を個々に確認することなく、軽減税率の対象となるものか、それ以外のものであるかを明確にし、帳簿に基づいて、税率ごとに仕入控除税額を計算できる程度の記載で差し支えありません。

ロ 「軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨」の記載

「軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨」の記載は、軽減対象資産の譲渡等であることが客観的に明らかであると言える程度のものとする必要があります。

ハ 一定期間のまとめ記載

一定期間まとめて請求書等が交付される場合は、その期間分をまとめて帳簿に記載することとして差し支えありません。

区分記載請求書等の記載に関する留意点

イ 「課税資産の譲渡等に係る資産の内容」の記載

「課税資産の譲渡等に係る資産の内容」の記載は、その内容が軽減税率の対象となるものであるか、それ以外のものであるかが明確になるよう、個別の商品名等の記載が行われている必要があります。

個人商店等をはじめ、中小の小売店等が利用しているレジには、多数の商品を登録できないものがありますが、このようなレジでは、個別の商品名等を登録することが事実上不可能な場合があります。

このような場合には、次のように、その店舗が取り扱っている商品の一般的な総称の記載(例えば、八百屋であれば「野菜」、精肉店であれば「肉」、又は一括して「食品」や「飲食料品」)であっても、取引された資産が、①課税資産の譲渡等に係るものであること、②軽減税率の対象となるものとそれ以外のものであることが、領収書の交付を受けた事業者において把握できる程度のものであれば、区分記載請求書等保存方式における請求書等の記載事項である「資産の内容」を満たすものとして取り扱われます。

ロ 「軽減対象資産の譲渡等である旨」の記載

「軽減対象資産の譲渡等である旨」の記載については、軽減対象資産の譲渡等であることが客観的に明らかであると言える程度の表示がされていればよく、個々の取引ごとに8%や10%の税率が記載されている場合のほか、例えば、次のような場合も、「軽減対象資産の譲渡等である旨」の記載があると認められます。

① 請求書において、軽減税率の対象となる商品に、「※」や「☆」といった記号・番号等を表示し、かつ、「※(☆)は軽減対象」などと表示し、これらの記号・番号等が「軽減対象資産の譲渡等である旨」を別途、明らかにしている場合

② 同一の請求書において、軽減税率の対象となる商品とそれ以外の商品とを区分し、軽減税率の対象となる商品として区分されたものについて、その全体が軽減税率の対象であることが表示されている場合

③ 軽減税率の対象となる商品に係る請求書とそれ以外の商品に係る請求書とを分けて作成し、軽減税率の対象となる商品に係る請求書において、当該請求書に記載された商品が軽減税率の対象であることが表示されている場合

ハ 一定期間のまとめ記載

日々の取引内容については、納品書等に記載され、一定期間の納品についてまとめて請求書が交付される場合において、納品書等と請求書との相互関連性が明確で、かつ、これらの書類全体で区分記載請求書等の記載事項を満たすときには、これらの書類をまとめて保存することで、区分記載請求書等の保存があるものとして取り扱われます。

この場合、請求書に記載する取引年月日については、対象となる一定期間を記載すればよく、また、同一の商品(一般的な総称による区分が同一となるもの)を一定期間に複数回購入しているような場合、「軽減対象資産の譲渡等である旨」の記載については、同一の商品をまとめて記載して差し支えありません。

免税事業者からの仕入について

免税事業者からの仕入についても現行と同様、仕入税額控除を行うことができます。この場合、免税事業者からの仕入であっても、これまでの請求書等への記載事項に加え、

① 軽減対象資産の譲渡等である旨

② 税率ごとに区分して合計した課税資産の譲渡等の対価の額

の記載のある区分記載請求書等の保存が必要となります。

この2項目について記載がない場合には、請求書等の交付を受けた事業者が、取引の事実に基づき、自ら追記することができます。

 

国税庁『消費税軽減税率の手引き 平成30年8月版』より

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