年末調整、記帳代行について

「弥生 PAPカンファレンス2020」における弥生株式会社代表取締役社長の岡本浩一郎氏の講演についての記事を読みました。

→ 「年末調整の課題」どうやって解決? 根本的なデジタル化で「確定申告の効率化」「電子インボイス」も 弥生・岡本浩一郎社長が語る業務ソフトベンダー/業界としての取り組み

私は弥生PAP会員ではないため、カンファレンスに参加したわけではありません。

この記事の中で、年末調整と記帳代行について参考になることが書かれていました。

年末調整は確定申告よりも難しくなった

まず年末調整についてですが、

「年末調整は本来、確定申告の簡易版だったはず。それがいまや、むしろ年末調整のほうが難しくなった実情すらある。」(岡本氏)

といった記述があります。

これには同感で、やはり文中で言及されているように2018年(平成30年)の年末調整で配偶者控除・配偶者特別控除が改正されて複雑になってしまったことが原因だと思われます。

さらに令和2年分の年末調整からは、新たに「給与所得者の基礎控除申告書」と「所得金額調整控除申告書」が加わり、ますます複雑になってしまいました。

税制が複雑になっているのも年末調整を難しくしている要因の一つですが、他の要因として、年末調整の段階では所得金額が確定していないため所得金額の見積額を計算しなければならないという点があります。

やはり弥生株式会社から見ても年末調整は相当難しいものであるようです。そのように感じているのが自分だけではなかったことがわかりました。

令和2年分の年末調整の申告書の書き方を事業者が理解し、その説明を受けた従業員が理解して申告書を正しく書くことは大変難しいのではないかと思います。

記帳代行支援サービス

次に記帳代行についてですが、弥生株式会社は会計事務所向けに「記帳代行支援サービス」を新たに提供するということです。

顧問先が顧問先自身で記帳を行わず、会計事務所に依頼して会計事務所で記帳を行うのが「記帳代行」ですが、その記帳代行の作業の多くの部分を弥生株式会社に委託するものです。

記事によれば、

「これまでの弥生の製品群は、自計化を促し、効率化するためのツールとして提供されてきた」

「これまでの『自計化』中心志向から、『記帳代行』をも併用する方向性へシフトさせた」

ということだそうです。

「『自計化か記帳代行か』は、いわば永遠の命題」

という記述もあり、やはり記帳を誰が行うのが一番いいのかという点について考えている人は多いのだなと思いました。

現在の税理士事務所や会計事務所がどれくらい記帳代行を行っているのかはよくわかりません。「記帳代行はやりません」とはっきりホームページで謳っている事務所もありますので、記帳代行を行う事務所は減ってきているのかなと思っていたのですが、弥生のような大きな会社がこのようなサービスを開始するということは、少なくとも弥生のPAP会員である税理士事務所・会計事務所では記帳代行を行っているところが多いのだろうと思いました。

私の記帳代行についての考え方は、複式簿記を理解し貸借対照表・損益計算書を理解するためには顧問先が自身で記帳作業を行った方が良いとは思いますが、顧問先自身で記帳作業を行うか記帳代行を利用するかは顧問先が決めることで私としてはどちらでも良い、というものです。

本業で忙しくて記帳作業を行う時間がない、ということも理解できるからです。

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