会計ソフトへのデータ入力については、私が担当している顧問先は、
- ほとんど(顧問先)自身で入力する
- 一部を自身で入力し、残りをこちらで入力する
- 自身では全く入力せず、すべてこちらで入力する
というようにさまざまです。
私は入力作業を外部に委託するということはやっていませんので、これまでかなりの件数の入力作業、いわゆる「記帳代行」を自分で行なってきました。
その中で、入力作業の手間・時間・ストレスを少なくするためにさまざまな工夫をしてきました。
それらのうちのいくつかはこのブログでも記事にしてきましたが、入力作業の場面ごとに効率化できたこと・効率化できていないことを一度まとめてみたいと思います。これまで記事に書いたことと一部重複する内容があるかも知れません。
入力作業の流れ
基本的には
- Excelで入力するまたはCSVデータを受け取る
- VBAまたはPythonで会計ソフトへの入力用のCSVファイルを作成
- 会計ソフトにCSVファイルを取り込み
という流れで行なっています。
Excelで入力用のシートを作成すると、
- 列ごとに日本語入力のオン・オフを切り替えることができる
- 項目の並び方を好きな順番にできる
- 「月」と「日」を別々に入力しておいて計算式で日付を作成できる(数字の入力をしているときに「/」で区切る必要がない。私は数字を打っている間に「/」を打とうとすると間違いやすいので。)
- 金額の入力を計算式で行うことができる(本体金額と消費税額の合計を入力する場合等)
- 行のコピーの操作が容易(入力済のセルの直下のセルを選択してCtrl + Dでコピーできる)
といった利点があります。
売上高の入力
売上高の入力のしかたには
- レジで出力した日別の売上集計表から入力する(飲食店・洋菓子店など)
- 顧問先が発行した請求書に基づいて入力する
の2つのパターンがあります。
売上集計表からの入力については、従来は消費税率が8%のみであり、入金の方法も現金とクレジットカード1社くらいであったため、売上集計表を見て現金売上を入力し、クレジットカード会社から送付されてくる明細を見ながらカードの売上を入力していました。
ところが2019年10月に消費税の軽減税率が導入されて複数税率となり、それに伴って開始されたキャッシュレス・消費者還元事業によりクレジットカード以外にもQR決済が顧問先で導入されることになり、これまでのように売上集計表を見て処理することが困難になることが予想されたため、「レジから売上データを出力してそれを元に会計ソフトへの入力データを作成する」ことにしました。
顧問先によって、TERAOKA・Airレジ・Uレジの3種類のレジがあったため、それぞれについてデータ作成の仕組みを作りました。
Airレジ・Uレジについては売上データがCSV形式でしたが、TERAOKAのレジの売上データは日毎にExcelの表のファイル(拡張子は「.XLS」)が作成されるというものでした。しかも日によってExcelの表の大きさが異なる(該当のデータが無い日は金額等の欄に0が入るのではなくて行そのものが無い)ため、Excelのファイルを開いてセル位置だけでデータを読み取るということができませんでした。
美容室用のレジのsalon posの売上データから会計ソフトへの入力データを作成する仕組みも作りましたが、私が確認したデータでは金額欄の金額が「1,000」のように「コンマ(,)」付きの文字列になっていました。
相手方に発行した請求書に基づく入力については、会計ソフトの「売掛帳」の画面を開いて直接入力していましたが、
- 売掛先を切り替える
- 過去のデータを複写して当月分のデータを作成する
- 金額を修正する
という手順が面倒になったため、Excelで入力用のシートを作成して、そこで入力したものから会計ソフトへの入力データを作成する仕組みを作りました。
このデータの作成の仕方は、相手先から受け取った請求書に基づいて仕入の入力をする場合(買掛金の入力)についても同じやり方をしています。
預金の入出金の入力
ここが一番効率化できていないところです。
顧問先がインターネットバンキングを利用していれば入出金明細のデータを提供してもらって、それを基に会計ソフトへの入力データを作成することができ、一気に効率化が図れるのですが、インターネットバンキングを利用している顧問先が無いのですべて手入力です。
インターネットバンキングについては不正送金が行われた際、預金者に過失があった場合には補償の基準が無く、個別的な対応となります。そもそも何が過失と認定されるのかもよくわからないので、万が一の事を考えるとインターネットバンキングの利用を強くお願いすることはできないと考えています。(自分ではインターネットバンキングというものを知る必要があると思い利用しています)
預金の入力で手間がかかる点は、通帳に記載されているとおりの順番で会計ソフトに入力しなければならないところで、もしそうしなければ月末の残高が合っていなかった場合にどこで金額を間違っているのかがわかりにくくなります。
いったん通帳に記載されている通りにExcelに入力して、それから預金の入出金データを作成する仕組みを作ってみましたが、やはり入力作業に時間がかかりすぎるためあまり効率化はできていないと思います。
経費の入力
入力のしかた
現金で支払って、レシートや領収書を受け取った場合の入力です。
まずレシート等の取り扱いですが、レシートを机の上に積んでおいてそれを1枚1枚見ながら入力していくというやり方ですと、
- レシート等が必ずしもまっすぐになっていないため(紙にクセが付いていることが多いため)積んだ場合に安定しない
- 処理済みのレシート等と未処理のレシート等が混じってしまう
- (エアコン等の)風が吹くとレシート等が飛んでしまう
- 作業を中断する場合には(飛ばないように)レシート等に重しをしておく必要がある
といったように不都合な点が多いため、複数枚の紙を連続して読み取りできるスキャナーを使用してレシート等を全部PDFファイルにすることにしました。PDFファイルはレシートごとに作成されますが、それらを一つのPDFファイルに統合することができます。
この作業でPDFファイルの取り扱いに慣れていたおかげで、今年の各種給付金の電子申請で添付するPDFファイルの作成がスムーズにできました。
また、レシート等をスキャンしていると、次のようなことがわかります。
-
- レシートや領収書のサイズ・様式は店舗によってさまざま
- スキャナーでスキャンできないくらい小さい領収書もある(スキャナーのローラーにかからないため紙送りができないので、別途インクジェットプリンタのスキャナー機能でスキャンすることになる)
- 一般的なレシートは紙の幅が大体同じだが店舗によっては長さがとても長いものがある
- 消費税について何の記載も無い領収書がある
- 消費税の記載の仕方も店舗によってさまざま
- 保管状態が悪いと紙がしわになったり印字が消えたりすることがある(スキャンしても読めない)
そしてパソコンの画面を2つに分割して、右側のウィンドウでPDFファイルを1枚ずつ送りながら左側のウィンドウでExcelの入力用のシートに入力しています。
使用しているパソコンの画面が13.3インチで少し小さいのですが、PDFファイルが見づらい場合には「Ctrl」キーと「+」キーで拡大しています。本当はもっと大きなディスプレイを使うか、ディスプレイを2台使った方がいいのだろうと思います。
入力の際に、勘定科目に補助科目が設定されている場合には、勘定科目を入力するとその勘定科目に設定されている補助科目のリストを表示させ、その中から補助科目を選択できるようにしています。これにより、経費だけでなく買掛金や未払金の入力をすることもできるようにしています。
消費税について
消費税額についてはExcelで入力した際に税率を選択し、税額を計算して表示するようにしています。これにより、レシート等に表示された税額と一致しているかどうかを確認しています。(1円の差額は計算上の誤差とみなしています)
1枚のレシートに標準税率の10%と軽減税率の8%の両方の項目が記載されている場合、記載されている金額が
- 税込金額と税額
- 税抜金額と税額
の2パターンがあり、それらを見分ける必要があります。(片方の税率の項目だけが記載されている場合には、最終的な税込金額と税率だけを確認すれば良い)
「税抜金額と税額」である場合には、Excelで入力する際に「=本体金額 + 税額」という計算式を入力することができ便利です。さらに、標準税率の10%の税込金額と軽減税率の8%の税込金額が入力されているセルを選択するとExcelの画面下に合計金額が表示されますので、その金額とレシートの最終の合計金額を照合することができます。
給与の入力
紙の給与明細を参照して、最初に給与明細の形式に準じてExcelに入力しています。
タテ(Excelのワークシートの行)に支給日・支給額・社会保険料額・源泉徴収税額等の各項目が並び、従業員名がヨコ(Excelのワークシートの列)に並ぶかたちです。
次に入力した範囲を全て選択して、別のワークシートに行・列を入れ替えてコピーします。こうして項目名を列に割り当てるとデータとして利用しやすくなります。
別のExcelのワークシートに会計ソフトの振替伝票に相当するCSVファイルの雛形を作っておきます。そのワークシートから、給与のデータが入っているワークシートを参照して、該当する支給日の給与の支給額等を集計します。集計後にCSVファイルとして保存すれば会計ソフトへの入力データが作成できます。
また、ここで作成した給与のデータは蓄積しておき、後で年末調整システムへの入力用データ作成等のために使用します。
クレジットカードによる支払いの入力
カード利用明細を紙で受取り、それを見ながら日付と摘要、金額をExcelに入力して、とりあえず勘定科目はすべて「仮払金」として会計ソフトへの入力データを作成し、会計ソフトに取り込みした後にレシートと照合して勘定科目と消費税額の修正を行っていました。
カード利用明細をCSVファイルで受取るようになってからは、入力の手間が無くなりました。また、CSVファイルの「ご利用先」等の項目に入力されている内容から勘定科目と消費税額を判定してデータを作成するようにしています。
先日カード利用明細のCSVファイルのフォーマットが急に変更になったことがありましたので、そのような場合にはそれに合わせて入力データ作成のプログラムを修正しなければなりません。
カード利用明細には消費税については何も記載されていませんので、やはり最後にはレシートを参照して消費税の処理を確認する必要があります。
やはり入力作業には手間と時間がかかる
どのように工夫しても、Excelのワークシートへの入力作業自体にはやはりそれなりに時間がかかります。
時間がかかるだけで入力作業にあまり意味とか価値とかは無いような気がします。
手分けして入力することができる
会計ソフトそのものを使わなくても、Excelで会計ソフトへの入力データが作成できます。
会計事務所等で入力作業を他に依頼する際に、会計ソフトに直接入力してもらう場合にはその入力作業が終わって会計ソフトのデータを受け取らないと次の作業ができませんが、Excelで入力してもらえば並行して作業を進めることができます。