財務諸表(貸借対照表や損益計算書)を理解する方法

自分で作成してみるのが一番

「財務諸表の見方」「決算書の見方」といった類の本が多くありますが、貸借対照表や損益計算書を理解するための一番の方法は、自分でそれらを作成してみることです。

事業所得や不動産所得を生ずる事業を行っている人ならそれらの事業について、事業を行っていない人なら家計について、複式簿記で会計帳簿を作成し、その結果としての貸借対照表や損益計算書を眺めてみれば良いと思います。

ものの仕組みを理解するために良い方法は、出来上がっているものをいったん分解して再作成してみるか、一から自分で組み上げてみることです。

自分が行っている事業や家計の運営の結果ですから、解説書を読むよりも金額に実感のあるものになります。

このとき、実際に自分の手を動かして複式簿記の仕訳をやってみる、ということが大事です。その仕訳によって元帳や貸借対照表・損益計算書がどう変化するのかを繰り返し確認することで複式簿記(ついては貸借対照表や損益計算書)の理解が深まります。

勘定科目について

会計ソフトで仕訳を入力する際に、「この支出はどの勘定科目になるのか」ということで悩んでしまうことがあるのかも知れません。

勘定科目は基本的には自分でわかりやすいものであれば何でも良いと思います。

勘定科目を何にするかよりも大事なのは、「それが経費になるのかならないのか」という点です。(事業を行っている場合。家計簿では使ったものは全部経費と考えて良いと思います。)

「何か経費で何が経費でないのか」については、たびたび裁判でも争われることがあり税法上は難しい問題です。ひとまず、「その事業に必要な支出は経費」と考えておけば良いと思います。

「費用」「資産」の区別 「収益」「負債」の区別

支出の際の複式簿記の仕訳の左側(借方)は「費用」である場合と「資産」である場合があります。

この「費用」と「資産」の区別が重要だと思います。

例えば飲食代のように、お金を使ってしまって戻ってこないものは「費用」と考えて良いと思います。

他人にお金を貸した場合とか、どこかにお金を預けた場合などは、いつかは返ってくるものであり自分のものでなくなったわけではないので「資産」になります。

同じように、お金が入ってきたときにも複式簿記の仕訳の右側(貸方)が「収益」である場合と「負債」である場合があります。

仕事の報酬としてお金をもらった場合には「収益」になりますが、他人からお金を借りた場合はそれが自分のものになったわけではなく、いつかは返さないといけないものなので「負債」になります。

複式簿記

貸借対照表では、表の左側に資産の項目が並び、右側に負債の項目が並びます。

資産の金額の合計よりも負債の金額の合計が少なければ、その差額が右側に現れますがこれが「純資産」となります。この「純資産」を増やしていくことが事業の目的となります。

常にこの「純資産」の金額を意識しながら帳簿の作成を行うことが大切です。

貸借対照表はある時点でのその事業の資産・負債の状態を表すものですが、例えば前回の決算時の貸借対照表と今回の決算時の貸借対照表とでは当然資産や負債の金額に違いがあります。

従って、資産の金額と負債の金額との差額である純資産の金額も違ってきます。前回の決算時の純資産の金額と、今回の決算時の純資産の金額との差額が今回の決算における「利益」の金額になります。「利益」は、純資産の金額がどれだけ増えたのかを表すものです。

ではその利益(=純資産の差額)がどのような理由(経緯)で出来上がったのかを見るのが「損益計算書」になります。1年間の事業活動の結果を表しているのが貸借対照表で、事業活動の過程を表しているのが損益計算書です。(損益計算書で計算される利益の金額と、純資産の金額の差額は必ず一致します。)

1番大事なのは結果として純資産がどれだけ増えたのかということであって、それを理解するための補足資料が損益計算書です。

「利益」を純資産の差額として見ることもできるし、収益と費用との差額として見ることもできる、といったように「複数の視点から見ることができる」という事が「複式簿記」の意味なのではないかと考えています。

 

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