記帳代行を行うか行わないか
記帳代行については、税理士法第二条第2項で次のように書かれています。
2 税理士は、前項に規定する業務(以下「税理士業務」という。)のほか、税理士の名称を用いて、他人の求めに応じ、税理士業務に付随して、財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務を業として行うことができる。ただし、他の法律においてその事務を業として行うことが制限されている事項については、この限りでない。
税理士が記帳代行を行うことについてはいろいろな意見があります。
ここで、「記帳代行」とは、複式簿記の会計帳簿を事業者に代わって税理士が作成することを言います。
なぜ「複式簿記」かと言うと、所得税においても法人税においても、青色申告を行うためには複式簿記で作成された帳簿が必要だからです。
税理士の立場からも、
- 記帳代行を引き受けるべきである
- 記帳代行を引き受けるべきでない
という2つの意見があり、それぞれに理由があります。
また、事業者(税理士の顧客)の立場からも、
- 記帳代行を依頼すべきである
- 記帳代行を依頼すべきでない
という2つの意見があり、それぞれに理由があります。
私自身は、記帳代行については今のところ、税理士が引き受けても引き受けなくても「どちらでも良い」と考えています。
事業者が自分で帳簿を作成した方が良いかどうか
ここでは事業者としては、個人事業者または個人事業者が法人成りした法人(家族経営)を念頭に置いています。
事業者が自分で帳簿を作成した方が良いかも知れない、と考えることがあります。
帳簿(及び貸借対照表・損益計算書)の作成を他者(税理士等)に依頼するよりも、自分で行ったほうが、帳簿の仕組みを理解し易くなるかも知れません。
やはり自分の手を使ってデータを入力し、帳簿を作成し、貸借対照表・損益計算書を確認して、おかしな点があれば元のデータを修正してまた貸借対照表・損益計算書を確認する、ということを繰り返していくことが帳簿の理解に役立つように思われます。
また、
- 資産が借方で負債が貸方
- 費用が借方で収益が貸方
- 借方と貸方の金額は常に一致する
といった複式簿記の帳簿を作成するための規則に対する感覚も、自分の手で帳簿を作成していくうちに養われていくように思います。